就職や転職の時に必要なもの
就職や転職の時に必要なものということで、最初に思い浮ぶのが、「履歴書」というものです。転職ということであれば「職務経歴書」というのも必要になる場合があります。情報化社会の現代では、これらの履歴書や職務経歴書は電子化され、新卒採用などで、Webでのエントリーシートという応募方法も一般化しています。これらの書類、書式は、採用する企業側が設定しているもので法的に規定されたものではなく、書式や形式も様々なものがあります。唯一規定書式があるものを上げると、厚生労働省が推進する「ジョブカード」という就職支援ツールぐらいでしょうか。しかしながら「ジョブカード」の普及はなかなか進んでいないというのが現状で、「ジョブカード」という言葉すら知らない方も多いのではないでしょうか?
「JIS規格の履歴書」とは?
就職活動や転職活動を開始する前に必ず準備しなければならないこれらの書類の内、必須の「履歴書」は文房具店や100均などで販売されているものをよく見かけます。これら販売されているものは「JIS規格」と書いてあるものがあります。JISと言えば日本工業規格のことですが、よく考えると日本工業規格がなぜ、履歴書の書式を定めているのか?という疑問にたどり着きます。インターネット上で公開されている履歴書の書式もJIS規格のものがあります。応募者は何となく、この「JIS規格の履歴書」というのが、標準の履歴書という思い込みで、この書式を使う人が多いのではないでしょうか?採用側もこの書式に沿った履歴書を求めている、というのもあるのかもしれません。法的根拠が無いにもかかわらず、誰もが何の疑問も持たずに使い続ける「JIS規格の履歴書」。もしかしたらこの「JIS規格の履歴書」が、日本の産業が世界から取り残され、停滞している原因になっているのかもしれません。
「働き方改革」のスタートライン
「働き方改革」のスタートラインは、この「JIS規格の履歴書」を使わないこと、だと思えるのです。その理由は、当たり前だと思っている記載内容、記載項目です。JIS規格に限らず、一般的な履歴書の項目は、だいたい次のようなものです。
- 氏名
- 証明写真
- 性別
- 生年月日、満年齢
- 現住所
- 電話番号・電子メールアドレス・連絡先
- 学歴、職歴
- 資格、免許
- 志望の動機
- 本人の希望
- 自己PR
- 通勤時間
果たしてこれらの項目は、どんな目的のために、誰が必要としている情報なのでしょうか?多様性とグローバル化、情報化という観点から根本的に見直す必要があるのではないかと思います。
まず、「氏名」。ここには、本籍の氏名を記入するのが当たり前と考えます。つまり一人1つの氏名があり、この書類が誰のものか、誰が応募したのかを特定するために、それを記入する。しかしながら「戸籍上の氏名」の他に「別の名前」も持つ人がいる。本人が名乗る「姓」や「名」には、何らかのストーリーや意味づけがされている。応募の段階で「戸籍上の氏名」を開示することに何の意味があるのか?例えば「ニックネーム」や「ペンネーム」などではなぜいけないのか?戸籍上の氏名を開示留守ことに抵抗のある人も居るのです。
続いて「証明写真」。基本的に書類選考のための履歴書であるならば、「容姿」は関係ないはず。写真というのは本人であることは間違いないのでしょうが、現代では、よりよく見せるためにいくらでも修正できるものです。そんな写真になんの意味があるのか?履歴書の写真により、書類選考を落とすとは、採用側は何を見ているのか?容姿や人種、人間性などを読み取っているのでしょうか?これは面接で判断すればよいもののように思えます。
そして「性別」。性別の考えは、「男女雇用機会均等法」が成立した時からどんどん進化しています。性別を履歴書に書かせることは、大きな時代遅れであると思います。
「生年月日・満年齢」。
「労働者の募集・採用に当たって、年齢制限を設けることはできない」と法律で決まっているになぜ書かせるのか?
求人広告に「年齢不問」と謳っているいるにも拘わらず、実際には書類選考で最初に振り落とすのはこの「年齢」ではないかと疑われます。
「現住所」は、「本籍地」を記載しない理由と同等の理由で、書類選考時点での記入の必要性を感じません。集合住宅や持ち家の別、集合住宅であればマンション名や部屋番号(階数)で物件の価格や暮らしぶりまで想像するとこが可能です。
面接に進む場合の連絡のためだけなら、メール、電話番号で十分事足りると思われます。
「学歴、職歴」「資格、免許」ここはある程度本人の職務能力を判断材料になるのでしょうが、募集要項によくある文言で、「学歴不問」「経験不問」「業界経験も職種経験も一切問いません」などというのがあります。「ならば、書かせるな」と言いたいところです。
「志望の動機」「本人の希望」「自己PR」。これが応募書類の本丸。応募側はここに力を入れて行くべきですし、採用側は、ここを最重要ポイントとして書類選考をしてもらいたいものです。
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