電話の着信音が鳴らない
家の電話、いわゆる固定電話が一般家庭に普及し始めたのは、昭和30年代のころ。ダイヤル式の「黒電話」の着信を知らせるけたたましいベルの音が鳴り響くことは、まだ固定電話が導入されていない家に対して、ある種の優越感を味わえたものです。以来、家の電話がほぼ全世帯に普及し、電話の着信音が鳴るのが日常化され、ベルの音が当たり前の響きとなって人々の生活に入り込んでいったのです。その音色は物理的なベルの音から電子音に変化し、さらに様々な着信を知らせる音や光、振動などに多様化されました。
電話の着信音はストレスだった
そんな日常化された電話の着信音ですが、けたたましいベル音に限らず、心地の良いメロディー、光や振動であっても電話の着信は、人の心や体にある種の反応をもたらすのです。何かをやっているときに、それを中断させる作用があるのです。ナンバーディスプレイの契約をしていれば、かかってきた電話番号をとりあえずは見ることになります。知らない番号は当然電話に出ないのですが、常時留守電設定しているといずれは自動応答し、メッセージが流れる「ピー」と音が鳴って留守電のメッセージが録音される。FAXの場合は着信される。その一連の流れが終了するまで心は束縛されているのです。続けで電話がかかってくるような場合は、もう一度同じ流れが繰り返されるのです。
あまりにも日常になりすぎて、当たり前と考えていたことが、固定電話を止めることで開放され、それがストレスであったことが判明しました。
その原因は、やはりかかってくる電話の中身です。留守電に録音されるものは、ほぼ100%勧誘、宣伝で不要不急のものばかり。FAXで着信されるものは、過去に登録したアンケート調査依頼で配信停止の連絡先すらわからなくなったものです。
固定電話のない生活は、ストレスフリーの解放感
固定電話を止めて一か月あまり、「無くてはならない家の固定電話」と思い込んでいたことが間違いであったことを実感しています。ストレスのもとになっていたものに毎月料金を支払い、電話機の電気代を支払い、電話配線や電話機スペースを確保したりしていたのです。
電話のならない生活がどれほど快適なものになるのか、やはり止めてみないとわからないことであると感じました。固定電話を止めることのデメリットは何かあるのかもしれませんが、今のところ一切デメリットと感じる変化はありません。こころ静かに過ごせる日常があるだけです。
コメント